やまのゆ出版部
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LOVE特急うらら 2.5 第1回
2009年 12月 22日 (火) 23:59 | 編集
当出版部ではコミックマーケット77において、新刊「LOVE特急うらら 三蟠(さんばん)」の頒布を予定しております。
これまで弊部では「LOVE特急うらら 一番町」「同 二瀬」を頒布してまいりましたが、このたび、三蟠の頒布に先立ちまして二瀬から三蟠までの間の出来事をショートストーリーとして掲載することにいたしました。ご笑読いただければ幸いです。

LOVE特急うらら 2.5 第1回

女三人寄れば姦しい。
そんな言葉のとおり、休み時間の女子校ではそこここで他愛もない話の花が咲いていた。
数人のクラスメイトが輪になって話をしている声が響いている。

くだらない。
麗は一人心の中で毒づいた。

彼女たちは可愛い下着の話題で持ち切りだ。
「ちゃんと勝負パンツじゃないとだめよ。軍是じゃダメダメ」
「なに言ってるの。見せる彼氏もいないくせに」
「そんなこと言ってるといざというときあわてるわよ」
「大丈夫よ。そんなときは情熱の赤。迷わずこれで勝負よ」
「さっきから聞いてるばっかりだけど、実はもう彼氏に見せる下着持ってたりするんじゃないの?」
「え、わたしそんな……」
「わーあわてっぷり怪しいー」
休み時間のおしゃべりは尽きない。

赤い下着なんて還暦でもあるまいに。
心の中でツッコミを入れながら麗はひとつちいさな欠伸をした。
「つまらなさそうね、麗ちゃん」
仲良しのルナが話しかけてきたのに気づいて麗はそちらに顔を向けた。
「そうでもないわ。寝る前にE231近郊形の番台区分を整理して覚えたから、ちょっと寝不足なだけ」
「そう…、相変わらずね」
ルナはにっこり微笑む。鉄道に詳しい訳ではないが、彼女は生き生きと鉄道の話をする麗がたまらなく好きだ。麗の教育の賜物で、さっきの麗の言葉も何となく意味するところは分かる。
「ねえ、ルナちゃんも可愛い下着とか興味ある?」
「え?」
唐突な問いにルナは困惑の声を上げた。
「彼氏に、可愛い下着を見てもらいたいと思う?」
「そうね。彼氏に下着を見せたくなるかはわからないけど、好きな人が出来たら、なんでも最善を尽くしたくなるんじゃないかしら。相手の人の好みに合わせるとか、どんなことをしたら相手の人に気に入ってもらえるかを必死で考えたり…」
しゃべりながらルナの目は乙女チックに潤んできた。別にルナもそういった恋愛経験があるわけではなく、少女小説を読んで恋に恋しているにすぎない。それでも色恋沙汰にまったく無頓着な麗に説明するには十分な知識量だ。
「そういうことはあるかもね。ありがとう、ルナちゃん」
「どうしたの?急に」
「なんでもないの。やっぱり私には関係のないことだって分かったわ。オトコに下着を見せるなんてありえないもの」
「麗ちゃんの男嫌いも相変わらずね」
ルナにとってみれば「男が嫌い。汚らわしい」といった類の話題こそ、鉄道の話題以上にいつもの話であった。

そんな会話を交わしてから数ヶ月、麗はスーパーの下着売場で立ち尽くしていた。脳裏にはルナとの会話が渦を巻いている。あれから環境ががらりと変わったとは言え、よもや自分が下着選びで苦労することになろうとは……。

01

第2回に続く
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この記事へのコメント
ルナちゃんが麗の姉のようだ
は、早く続きを・・・
お願いします・・・
2009/ 12/ 23 (水) 16: 37: 37 | URL | # -[ 編集 ]
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