やまのゆ出版部
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LOVE特急うらら 2.5 第3回
2009年 12月 24日 (木) 23:59 | 編集
「なるほどね、それで目を白黒させてたのね」
休憩ゾーンでソフトクリームをなめながら麗の説明を聞いたルナは事情を把握してうなずいた。
「つまり、今度一緒に旅行に行く時に、お兄さん、というか彼氏に下着を見られちゃうかもしれない。そんな時、どんな下着を付けていくのがふさわしいか、で悩んでたのね」
「うん、そうなの。これまでこういうこと、考えたことなかったから」
おずおずと「彼氏が出来た」と申告してきたときにも青天の霹靂だったが、あの麗ちゃんが下着を気にするなんてすごい変わりようだ、とルナは思う。そこまで麗が意識を向けている兄とやらに嫉妬を覚えるぐらいだ。趣味という固い絆をもとに心を通わせた2人の話を聞くと、正直その「兄」が、麗が何を着ているかごときで彼女への評価を変えるとは思えなかったが、目一杯おしゃれをしたい女心も痛いほど分かった。
「麗ちゃんはどんな恰好をしたいの?お兄さんならきっとどんな下着でも笑ったりしないと思うわよ。だから、麗ちゃんが一番着たい、と思う恰好が良いと思うの」
「それなら…普通の形のブラジャーが良いかな、と思うんだけど、私ぜんぜん胸ないし」
「大丈夫よ。サイズだっていろいろあるから。じゃあ探しに行きましょ。商店街にちゃんとしたお店があるからそこで見ましょうよ」
「そこまでしてもらっちゃ悪いわ」
「気にしないで。ソフトクリームおごってもらったし、かわいい麗ちゃんの下着姿をお兄さんより先に見せてもらえるなら喜んでお手伝いしたいところなの」
「もう、ルナちゃんたら」

散々試着を繰り返した後、麗はささやかなレースのついた上下揃いのソフトブラとパンツを買った。パンツの方が傷みが早いのは分かるのだがなにしろ最初だ。見た目も重視。予算的にも精一杯のおしゃれ。
「ルナちゃん今日は本当にありがとう」
「こちらこそ。やっぱり麗ちゃんは何を着ても様になってたわ。帰ってきたら旅行の話も聞かせてね」
「うん。もちろん。じゃあね。また明日」
「また明日」

果たして……その時。
「かわいい下着だね。とっても似合ってるよ」
兄から下着をほめられた麗は欣喜雀躍である。ルナちゃんに感謝、そして、誉めてくれた兄に感謝。
「あ、ありがとう」

「あれ、そういえば、麗ブラジャーしてたっけ」
「ええ、ちゃんと前からしてたわよ……」
「日記に何か書いてなかったっけ……」
「ごめんなさい。その……旅行の時に……あなたに見られるかもしれないと思ったから……」
麗はちょっと口ごもった。
「そうか。わざわざ揃えてくれたのか。ありがとう」
そう言って兄は麗を抱きすくめた。
「変じゃないかしら」
「全然。何だか麗が一所懸命おしゃれをしてくれたのが伝わってすごく嬉しいよ」
「うん」
「無理はしないで良いからね。どんな恰好だろうと、麗が一番なんだから」
「うん……」
ルナちゃんの言ったとおりだ、そう思う一方で、精一杯のおしゃれをし、兄に喜んでもらえたことは麗を充分幸せにした。
「誉めてくれてありがとう。私も嬉しい……」
麗はその体を兄に預けた。幸せな2人の時である。

03

LOVE特急うらら 2.5 おわり
                LOVE特急うらら三蟠等へ続く
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LOVE特急うらら 2.5 第2回
2009年 12月 23日 (水) 23:59 | 編集
目の前には色も形もとりどりのブラジャーが並んでいる。近くにはブラとパンツがお揃いのセットもある。なにを買ったらいいものか。北海道に旅行に行くのに、ヨレヨレのパンツでははしたないから、と海晴にお金をもらったまではよかったが、いざ買う段になると、いったいなにを買えばいいのかさっぱり分からず、麗は頭を抱えた。
初めてのブラならスポブラだということは麗にもわかる。でも、これから彼氏とお泊まりに行こうかという女の子がスポブラなんかしてたら笑われないだろうか。じゃあ、とスポブラ以外のものに目を向けるとワイヤーの入っていないソフトブラと言うものがある。これなら見た目は申し分ない。ただし、あまり豊かとはいいがたい自分の胸に余るのは明らかだ。なにしろ、自分より遥かに発育の良い立夏が先日ようやくスポブラを卒業してソフトブラに変えたばかりなのだ…。
そこまで思考を巡らせて麗は自分の失策に気づいた。

日記に余計なことを書いた!

つい先日-立夏がスポブラ卒業を自慢した直後に自分がまだノーブラであることを日記に書いたことを思い出して麗は青くなった。そんな自分がお泊まりだからといってブラジャーをして行っても背伸びをしているのが見透かされるかもしれない。パンツだけ一張羅にすればいいだろうか。でも、ブラジャーすらする気もないお子ちゃまでは幻滅されないだろうか、やっぱり何か一つブラジャーを……。思考がループする。
「お客様、何かお困りでしょうか?」不意に声を掛けられて麗はあわてた。
「いえ、あの、その、こ、こ、こまっ、いえ、見てるだけです」と断りを入れた相手に目を向けると、そこには店員ではなくルナがにこにこしながら立っていた。
「ごめんなさい、麗ちゃん。あなたが説明書きの前で百面相をしているから面白くて声をかけそびれちゃったの。困り事なの?」
「ルナちゃん、相談にのってちょうだい」地獄で仏、とばかりに麗はルナの手にすがった。

02

第3回に続く
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LOVE特急うらら 2.5 第1回
2009年 12月 22日 (火) 23:59 | 編集
当出版部ではコミックマーケット77において、新刊「LOVE特急うらら 三蟠(さんばん)」の頒布を予定しております。
これまで弊部では「LOVE特急うらら 一番町」「同 二瀬」を頒布してまいりましたが、このたび、三蟠の頒布に先立ちまして二瀬から三蟠までの間の出来事をショートストーリーとして掲載することにいたしました。ご笑読いただければ幸いです。

LOVE特急うらら 2.5 第1回

女三人寄れば姦しい。
そんな言葉のとおり、休み時間の女子校ではそこここで他愛もない話の花が咲いていた。
数人のクラスメイトが輪になって話をしている声が響いている。

くだらない。
麗は一人心の中で毒づいた。

彼女たちは可愛い下着の話題で持ち切りだ。
「ちゃんと勝負パンツじゃないとだめよ。軍是じゃダメダメ」
「なに言ってるの。見せる彼氏もいないくせに」
「そんなこと言ってるといざというときあわてるわよ」
「大丈夫よ。そんなときは情熱の赤。迷わずこれで勝負よ」
「さっきから聞いてるばっかりだけど、実はもう彼氏に見せる下着持ってたりするんじゃないの?」
「え、わたしそんな……」
「わーあわてっぷり怪しいー」
休み時間のおしゃべりは尽きない。

赤い下着なんて還暦でもあるまいに。
心の中でツッコミを入れながら麗はひとつちいさな欠伸をした。
「つまらなさそうね、麗ちゃん」
仲良しのルナが話しかけてきたのに気づいて麗はそちらに顔を向けた。
「そうでもないわ。寝る前にE231近郊形の番台区分を整理して覚えたから、ちょっと寝不足なだけ」
「そう…、相変わらずね」
ルナはにっこり微笑む。鉄道に詳しい訳ではないが、彼女は生き生きと鉄道の話をする麗がたまらなく好きだ。麗の教育の賜物で、さっきの麗の言葉も何となく意味するところは分かる。
「ねえ、ルナちゃんも可愛い下着とか興味ある?」
「え?」
唐突な問いにルナは困惑の声を上げた。
「彼氏に、可愛い下着を見てもらいたいと思う?」
「そうね。彼氏に下着を見せたくなるかはわからないけど、好きな人が出来たら、なんでも最善を尽くしたくなるんじゃないかしら。相手の人の好みに合わせるとか、どんなことをしたら相手の人に気に入ってもらえるかを必死で考えたり…」
しゃべりながらルナの目は乙女チックに潤んできた。別にルナもそういった恋愛経験があるわけではなく、少女小説を読んで恋に恋しているにすぎない。それでも色恋沙汰にまったく無頓着な麗に説明するには十分な知識量だ。
「そういうことはあるかもね。ありがとう、ルナちゃん」
「どうしたの?急に」
「なんでもないの。やっぱり私には関係のないことだって分かったわ。オトコに下着を見せるなんてありえないもの」
「麗ちゃんの男嫌いも相変わらずね」
ルナにとってみれば「男が嫌い。汚らわしい」といった類の話題こそ、鉄道の話題以上にいつもの話であった。

そんな会話を交わしてから数ヶ月、麗はスーパーの下着売場で立ち尽くしていた。脳裏にはルナとの会話が渦を巻いている。あれから環境ががらりと変わったとは言え、よもや自分が下着選びで苦労することになろうとは……。

01

第2回に続く
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